急性中耳炎・滲出性中耳炎の手術

鼓膜切開術(外来)

鼓膜を切開して鼓室内圧を正常化するとともに滲出液を吸引除去するものです。
鼓膜切開によって外耳道から鼓室内に空気が流入するため、一瞬にして鼓膜内外の気圧差をなくすことができます。さらに吸引できずに残った滲出液の排泄を促す作用もあります。缶ジュースに穴を開けて飲むときのことを考えて下さい。1つの穴よりも2つ穴を開ける方がジュースは飲みやすくなります。(図8)

それと同じで、鼓膜に穴を開けることによって耳管から滲出液が排泄されやすくなるのです。局所麻酔をした鼓膜に1~2mm程度の穴を開けるのですが、この程度の小さい穴ですと、たいてい1~5日間くらいで閉じてしまいます。(図9)

穴が閉じずに残ってしまう可能性も0とはいえませんが、幼小児では極めて稀です。1回の鼓膜切開で治らない場合は何度か繰り返して鼓膜切開を行うことがあります。鼓膜切開の回数は、医師の治療方針の差が大きく、ほぼまったく行わない医師から、無制限に何十回と繰り返す医師もいます。

最近では鼓膜切開の応用として、レーザーによる鼓膜切開が普及しはじめています。従来のメスによる切開に比べて、鼓膜の穴が閉じにくく、2~3週間と比較的長期間保たれることが特徴です。

鼓膜換気チューブ留置術(日帰り手術も可能 )

鼓膜切開術と同様に、鼓室内圧を正常化させること、滲出液の排出を促進することが目的です。
効果の持続期間が5~6日程度である鼓膜切開術より、長期間の効果持続が期待できます。

留置したチューブによって、鼓膜が自然に閉鎖するのを阻止し、鼓膜の穴は比較的長く開いたままになります。
聴力の回復の度合いや治癒率においてそれほど劇的な効果が確証されているものではないため、かなり限定的な手段とはなりますが、現代の医学における滲出性中耳炎の治療法という意味では、もっとも有効性の高いものだと言えます。
2~3年後の治癒率はあまり高くありませんが、チューブ留置術の本来の意義「早期の聴力改善」「一定以上の聴力を長く維持すること」への効果に対して非常に重要な意味を持ちます。(乳突蜂巣の発育促進という意義もあります)
鼓膜切開が一瞬の処置で終わる一方、チューブ留置には少なくとも数分が必要です。また多少の痛みを伴うため、5~6歳のお子様の場合には外来での処置は難しく、入院・全身麻酔という選択肢も視野に入れなければなりません。

対象となる病状 頑固な滲出性中耳炎による難聴。
対象年齢 特に年齢制限はありません。
意義 チューブを通して、鼓膜の奥の換気ができるため、水がたまらなくなり、よく聞こえるようになります。
手術方法 鼓膜を切開し、そこにチューブを挿入します。
麻酔方法 局所麻酔(局所麻酔が不可能なら全身麻酔。)
手術での危険性 バイ菌が感染すると耳漏がでます。 稀に、チューブが抜けたあとの穴が残ってしまうことがあります。
手術所要時間 片耳で5分程度
入院日数 外来手術(全身麻酔の場合は1泊2日)
術後の外来通院 約2週間〔週1回(2週間)〕、以後は毎月1回、経過観察

手術後の注意点

  • 当日のみ入浴禁止です。
  • 翌日以降の禁止事項は特にありません。
  • プールは患者さん側の考え方などを確認した上で、相談します。

急性中耳炎・滲出性中耳炎の手術費用

急性中耳炎・滲出性中耳炎の手術 実質自己負担額
鼓膜切開術(外来) 約10,000円
鼓膜換気チューブ留置術 50,000~70,000円

※実質自己負担額は、高額療養費制度を利用された一般的な所得<区分ウ>の方の概算金額です。所得によって異なります。また、入院期間・処置等によっても多少前後いたします。