慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎の手術

鼓膜形成術(日帰り手術も可能 )

日帰り手術での鼓膜形成術は、局所麻酔にて行います。手術1時間前にボナン氏液と呼ばれる局所麻酔薬を染みこませた綿球を、鼓膜穿孔の周りに接着することで、ほぼ無痛で手術を受けていただけます。
手術開始と同時に、耳介後部へ局所麻酔を打ち、鼓膜閉鎖のための素材として皮下組織を採取します。穿孔縁を切り取り新鮮化した後、適切な形状に整えられた皮下組織を中耳腔に挿入し、鼓膜穿孔を裏打ちし、穿孔を閉鎖します。接着をより確実に行うため、中耳腔内に1~2週間で溶解する素材を入れたり、鼓膜と皮下組織を血液由来の接着剤(フィブリン糊)で固定するなどの方法をとります。

対象となる病状 奥に炎症はなく、鼓膜の穴だけが残っている状態。
対象年齢 特に年齢制限はありません。
意義 耳の穴からする手術なので、傷が小さくて済みます。
手術方法 耳の後ろを2cmほど切開し、皮下組織を採取します。
耳の穴からその皮下組織を入れて、鼓膜の穴を塞ぎ、手術用の糊で接着します。
麻酔方法 局所麻酔(局所麻酔が無理なら全身麻酔。)
手術での危険性 皮下組織がはがれ落ちて、穴が残ることがあります。
手術所要時間 1時間程度
入院日数 半日~1泊2日
術後の外来通院 約4週間〔週2・3回(2週間)+週1・2回(2週間)〕

手術後の注意点

手術の2日後から仕事は可能ですが、運動は1ヶ月後以降です。

鼓室形成術

「慢性中耳炎で穿孔が大きい」「パッチテストで聴力改善が確認されず耳小骨の再建が必要と診断された」「真珠腫性中耳炎のため広範囲で中耳腔の清掃が必要」といった場合には、日帰りの鼓膜形成術ではなく、鼓室形成術が必要となります。
大きな鼓膜穿孔、真珠腫、病巣範囲が広い場合には顕微鏡で手術(顕微鏡下鼓室形成術)を、それ以外の場合には基本的に内視鏡で手術(内視鏡下鼓室形成術)を行います。なお、顕微鏡を使用する場合には、耳たぶの後ろに5センチ程度の切開が入ります。
手術は、以下の手順で行われます。

① 切開
・顕微鏡下鼓室形成術では、より広範囲の施術が求められるため、耳たぶの後ろに5センチ程度の切開が入ります。
・内視鏡下鼓室形成術では、皮下組織の採取のため、1センチ程度の切開が入ります。

②鼓膜閉鎖
外耳道の後ろ壁を切開し剥がし、その下に皮下組織・筋膜を挿入します(under-lay)。

③耳小骨再建
手術前のパッチテストで聴力の改善が認められなければ、中耳腔の耳小骨の動きが阻害されていると考えられます。キヌタ骨の形状を変えて再挿入する、もしくはアパセラム等の代用耳小骨を使用するなどして、耳小骨を再建します。そうすることで、音の振動が鼓膜から内耳に伝わりやすくなります。

④乳突洞、上鼓室の充填
真珠腫性中耳炎の場合には、真珠腫のできるスペースを予めなくしておくことで再発が防止されます。
手術の際に患者様ご自身から採取した骨の粉で乳突洞と上鼓室を充填します。

対象となる病状 慢性中耳炎による耳漏や難聴。
対象年齢 特に年齢制限はありません。
意義 炎症を取り除き、耳漏をとめたり、炎症の波及を防いだりします。
鼓膜の穴や音を伝える骨の欠損を修復し、難聴を改善します。
手術方法 耳の後ろの付け根の皮膚を切開します。骨を削って骨の中の炎症を取り除き、鼓膜や骨を修復します。
麻酔方法 全身麻酔(局所麻酔で行う場合もあります。)
手術での危険性 内耳症状(めまい、耳鳴、難聴)、頭蓋内症状(髄液漏、髄膜炎)。顔面神経麻痺などがごく稀におこります。
手術所要時間 2~ 3 時間程度
入院日数 1泊2日~3泊4日(炎症の程度や通院事情によって変わります。)
術後の外来通院 約6週間〔毎日or隔日(2週間)+週1・2回(4週間)〕

手術後の注意点

  • 術後2日目から胸から下のシャワー可。
  • 術後6・7日目頃から事務系の仕事は開始できます。

慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎の手術費用

慢性中耳炎・真珠腫性中耳炎の手術 実質自己負担額
鼓膜形成術 90,000~110,000円
鼓室形成術 90,000~110,000円

※実質自己負担額は、高額療養費制度を利用された一般的な所得<区分ウ>の方の概算金額です。所得によって異なります。また、入院期間・処置等によっても多少前後いたします。