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2019.03.01

老木医院の院長が語るアレルギーの話 その2

老木医院の院長、老木浩之です。

今回もアレルギー反応を引き起こす抗原の話です。
前回、スギ花粉などの抗原が体内に入ってくると、身体の中で作られたスギ花粉専用に反応する抗体が待ち構えているとお話ししました。
では、スギ花粉専用の抗体は生まれつき備わっているのでしょうか。そうではありません。

スギ花粉などの異物が身体に入ってくると、まず体内の免疫機構は、その異物を攻撃対象にするかどうかを判断します。
つまり、自分の身体にとって有害かどうかを見極めるということですが、これには大きな個人差があります。
すなわち、スギ花粉を敵と判断した免疫機構は、スギ花粉を攻撃するためにスギ花粉専用の抗体をせっせと作り始めます。
これで身体の中はスギ花粉に対しての迎撃態勢が整ったことになります。

一方、スギ花粉を敵と見なさない免疫機構を持つ人は、もちろんスギ花粉に対する抗体を作らないので、次回、スギ花粉が入ってきてもそれを排除するような反応(くしゃみ、鼻水、鼻づまり)は起こりません。
異物を敵と見なしたり、みなさなかったりする違いは何なのか、そして個人差はどのように生まれるのか、その肝腎なところはまだよくわかっていません。

多くの人の免疫機構が敵と判断し、抗体が作られる物質のことを、抗原になりやすい物質ということで、「抗原性が高い」と表現します。
例えば、スギ花粉は我が国では国民の2,3割以上の方がスギ花粉症なので、非常に抗原性が高いということになります。
一方、例えば、蕎麦(そば)アレルギーといって蕎麦を食べるときつい喘息発作を起こす人がいらっしゃいます。
症状はきつくでる傾向にあるとは言え、そばアレルギーのある方は人口の1,2%以下でしょう。
蕎麦の抗原性はスギに比べるとずいぶん低いことになります。

抗原性が高いか低いかは、手術などで身体に留置する材料の選択に応用されています。
その代表的なものがシリコンです。
シリコンは抗原性が低く、つまり、身体の中で敵と見なされにくいので、安定して身体にとどまることができます。
豊胸術で使われてきた代表的な素材です。

私たち耳鼻科領域でも、鼓膜に小さなチューブを入れるという手術があり、そのチューブの材質はシリコンです。
他に、例えば、金属ではチタンの抗原性は低いとされており、体内に留置する金属プレートやネジの材料としてよく使われます。

今日はここまで。抗原の不思議な旅はまだまだ続きますので、お楽しみに。

アレルギーの話 その1はこちらから

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