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2019.03.20

睡眠時無呼吸について

医師の中西 悠です。今回は、睡眠時無呼吸(SAS)のお話です。

睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome (SAS)) は眠っている間に呼吸が止まり、それによって日常生活に様々な障害を引き起こす疾患です。

無呼吸になると、血液中の酸素濃度がさがります。いろいろな睡眠の研究から、一定の低酸素状態が続くということよりも、酸素濃度が高くなったり低くなったりするサイクルを繰り返すこと(間欠的低酸素)が交感神経・副交感神経のバランスを崩し、血圧、循環器系に悪影響を及ぼすということが分かってきています。

診断基準

SASの重症度はAHI (Apnea Hypopnea Index: 無呼吸低呼吸指数)で表し、一晩の睡眠を通して、1時間当たりの無呼吸、低呼吸(呼吸が浅くなる状態)の頻度を元に診断していきます。このAHIが5回以上認められ、日中の眠気などの自覚症状がある場合、SASと診断されます。

なお、AHIの値が 5〜15回が軽症、15〜30回が中等症、30回以上が重症とされています。睡眠は昼間の活動で疲れた体と脳を休息させるために必要な、大切な時間です。睡眠時無呼吸で、睡眠が十分に取れないと、眠気や疲れが取れないだけでなく、様々な全身合併症の頻度が高くなります。高血圧や脳卒中、脳梗塞、心筋梗塞、不整脈などを引き起こすリスクが3〜4倍、また重症SAS(AHI>30)では長期で生存率が低下し、心血管系疾患のリスクが5.2倍に上るとする報告があります。前回のブログでも紹介したように、たかがいびきとあなどらず、無呼吸の恐れがあれば医師の診断を受けてください。

睡眠時無呼吸の原因

肥満

閉塞型SASの発症要因のうち、肥満が1番のリスクファクターと考えられています。

日本人では欧米人に比べて著しい肥満者が少ないのですが、閉塞型SASの有病率はほぼ同じと報告されています。この原因として上気道における顎顔面形態の異常と、上気道周囲の軟部組織の増大、大きな舌との相対的な割合の破綻、解剖学的なアンバランスが原因ではないかと考えられています。

加齢

加齢は、肥満度(body mass index: BMI)や性差とは独立した、睡眠中の咽頭虚脱や上気道抵抗上昇の要因になると考えられています。解剖学的な加齢変化として、咽頭が上下方向に長くなる、咽頭間隙の脂肪組織がBMIとは独立して増加するなど、物理的に気道がたるみ、狭窄しやすくなることも影響すると考えられています。そのほかに、加齢による呼吸中枢の不安定化、睡眠の浅化、分断や、化学受容体の反応性低下など、さまざまな要因が老化依存性の閉塞性SASの発現に関与していると考えられています。

性差

疫学調査では、閉塞性SAS発症の推定男女比は 2~3:1 であるとされます。女性において閉経は閉塞性SASのリスクファクターであると言われます。閉経前の女性の閉塞性SASは男性に比べてかなり低いが、閉経後には閉塞性SAS患者の割合は男女ほぼ同水準になるとの報告があります。

 

のどの状態と空気の通り道のイメージ

1. 正常

2. いびき(気道の一部狭窄)

3.閉塞性無呼吸

4.CPAPにより気道の完全閉塞が気道確保されている様子