耳が痛い原因と対処法

耳が痛い原因

耳が痛い原因

耳の痛みは、外からの音が脳に伝わるまでの間の各器官で異常が起きたときに発症するのが一般的です。

痛む箇所は「耳の奥」「耳の穴に近い当たり」「耳の外や周囲」の三つに大きく分けられます。

耳の中・耳の奥が痛い

急性中耳炎

風邪などによる鼻づまりから起こることが多い急性中耳炎では、耳に強い痛みが生じます。小さなお子様の場合、夜泣きやぐずりがひどくなった、不機嫌な様子が続く、耳に触れられるのを嫌がる、といった行動は急性中耳炎を疑う必要があります。

咽頭炎

咽頭の炎症が耳の痛みの原因となる事があります。これには舌咽神経という神経が関係しています。

舌咽神経とはのど、舌の後ろ3分の1から耳にかけての感覚をつかさどっている脳神経の1つです。この神経のはたらきにより、のどの炎症の症状が耳の奥の痛みとしてあらわれる場合があります。

航空性中耳炎

急性中耳炎の一種です。鼓膜の内側(中耳)には少量の空気が入っていて、耳管という管を通じて鼓膜の内側と外側の気圧を一定に保っています。これが飛行機の離着陸などの急激な気圧の変化によって、鼓膜の内側と外側の気圧の差が生じて耳が痛くなる症状です。

風邪・アレルギー性鼻炎・副鼻腔炎などによって耳管機能が悪くなると起きやすくなるとされます。

耳の穴の近くあたりが痛い

外耳炎

耳の穴の入口付近から鼓膜までの間に炎症が起こり、痛み、腫れ、赤み、耳だれ、かゆみ、耳の詰まり、きこえにくいなどの症状が現れます。口を開けたときに痛んだり、睡眠が妨げられるほどの強い痛みを感じることもあります。

外耳道真菌症

外耳道炎はバイ菌だけでなく、真菌(カビ)による炎症が起こることも珍しくありません。この状態を「外耳道真菌症」と言います。

カビの炎症の場合には、乳白色や真っ黒な耳カス状の耳漏が大量に出るのが特徴です(カビの種類によって色合いが違ってきます)。カビの炎症は、通常のバイ菌よりもガンコで(治るまで長期間かかることが多いです)、繰り返しがちなことも特徴です。

耳の痛み、耳閉感、難聴などの症状があらわれます。

耳の外や周囲が痛む

顎関節症

顎(がく)関節は耳の穴のすぐ前にあります。顎の関節が原因で、耳の痛みを引き起こすことがあります。

先天性耳瘻孔

先天性耳瘻孔とは、耳の付け根あたりに開いている小さな穴のことです。一部の方に生まれつきみられる奇形で、通常は特に症状はあらわれませんが、この穴に汗や垢などがたまって臭いを放ったり、細菌が侵入して感染することがあり、痛み・腫れ・膿・かゆみなどの症状があらわれます。

三叉神経痛

三叉神経は顔の触覚や痛覚などを脳に伝える神経です。三叉神経の名前は、脳の中心部の脳幹からおでこ・頬・下あごの三つに枝分かれしていることに由来します。

主にこの三叉神経が血管に圧迫されることを原因に、電気が走ったような強い痛みが生じるのが三叉神経痛です。食事・歯磨き・会話などの顔の動きによって痛みが誘発されます。

脳の神経を原因とする疾患のため、脳神経外科を受診ください。

帯状疱疹ウィルス感染症

耳介に水泡ができて、神経痛の痛みが出ます。顔面神経麻痺の原因にもなるウィルスです。

耳が痛い場合はまず問診を

耳が痛い場合はまず問診を耳の痛みが現れる以前に風邪などにかかっていなかったか、耳を触ったりはしなかったかということを問診で確認します。お子様の場合は急性中耳炎の可能性が高く、特に3歳までに保育所などに預けられていた場合には重症化しやすかったり、繰り返しかかったりということが起こります

また、外耳、鼓膜の状態を内視鏡などでよく確認します。外耳炎や中耳炎の特徴を鑑み、患者様ご本人や保護者様にいくつか質問をさせていただきます。

それでも異常がなければ、喉や顎の関節、首のリンパ節に炎症がないかどうかを確認します。

さらに、聴力検査をはじめ、細菌培養検査、血液検査など、耳や耳以外の病気の診断に必要な検査も行います。これらのことを総合的に考慮し、診断します。

耳が痛い場合の対処法

耳鳴り

耳・のどを原因箇所とする場合、耳鼻咽喉科での診察が可能です。別の箇所を原因とする場合は、当該の診療科を受診ください。

急性中耳炎

抗生物質の内服、点耳薬による治療の他、鼓膜を切開して膿を取り除く方法を採ることもあります。

咽頭炎

消炎鎮痛剤、抗生物質などによる薬物療法、咽頭への薬剤塗布、ネブライザー、薬によるうがいを行います。

航空性中耳炎

程度が軽い場合、飛行機に乗る際は水を飲む・あめなどをなめる、あくびをするなどが効果があるとされています。

また、鼻をつまんで行う「耳抜き」も鼓膜の内側と外側の気圧差がなくなり、効果的です。あまり強くすると鼓膜を傷つける場合がありますので、注意してください。

症状が改善されない場合は耳鼻科を受診ください。

外耳炎

細菌検査を行った上で、適切な抗生物質や点耳薬を使用します。耳掃除でできるような小さな傷から炎症が起こることが多いので、治療が終わってからも注意が必要です。

外耳道真菌症

真菌を取り除き、外耳道内を洗浄し、外用薬の塗布や内服薬の服用を行います。

先天性耳瘻孔

抗生剤・鎮痛剤の服用、膿が出る場合は切開し膿を出すなどを行います。

感染を繰り返す場合は、手術によって耳瘻孔を周囲の組織ごと摘出することで根治を目指します。この手術は成人の方でしたら局所麻酔による日帰り手術が可能です。小児の場合、入院しての全身麻酔手術となります。

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耳に関するその他の症状

以上耳が痛い原因と治療法について解説させていただきました。その他の耳に関する症状は以下のページにて解説しております。

監修医師

  • 老木 浩之
  • ・耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院 理事長
  • ・日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
  • ・厚生労働省 補聴器適合判定医師
  • ・医学博士

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