鼻づまりになる原因は?
鼻の中で空気の通り道をふさぐようなことが起こったとき、鼻づまりとなります。具体的に、鼻づまりの原因は以下のことが考えられます。
鼻の粘膜が腫れる
鼻の粘膜が腫れて鼻詰まりにつながることがあります。風邪・アレルギー性鼻炎(花粉症)・副鼻腔炎(蓄膿症)などが原因となります。
※市販の点鼻液にはご注意ください!
鼻の粘膜はほとんどが毛細血管でできています。そのため、血管収縮剤という薬をつかうと鼻の粘膜は急激に収縮し、鼻の通りが劇的に良くなります。大半の市販の点鼻液にはこの血管収縮剤が入っているので、鼻づまりには即効性があります。
ただし、ずっと常用していると鼻の粘膜が次第に収縮しなくなりかえって粘膜の腫れがひどくなります。市販の点鼻液の長期使用が鼻詰まりの原因になっていることが非常に多いです。
鼻汁がたまる
常に鼻水が滞留していると、空気の通り道が狭くなり、鼻詰まりになります。
鼻の骨・軟骨の問題
最も多いのは、鼻の左右を仕切る壁(鼻中隔といいます)が曲がって鼻の中が狭くなり鼻詰まりになるというものです。
ほかには、鼻骨や鼻の穴を形成する軟骨が左右非対称になって鼻の中が狭くなったり、鼻の穴が狭くなったりすることがあります。
鼻茸など、鼻内にデキモノ
鼻茸とは、鼻の粘膜が弱くなり、粘膜の一部が水ぶくれのように腫れたしまった状態のことです。鼻茸が鼻の中にできると空気の通り道が狭くなり、鼻詰まりにつながります。
ほかにも、デキモノ(腫瘍)ができて鼻づまりになることがあります。
鼻内に異物
幼児期に鼻が詰まるだけでなく、黄緑の粘っこい鼻汁が片方の鼻から出る場合には、母親の知らない間に幼児が鼻の中に異物を入れていることがあります。耳鼻科を受診しましょう。
鼻とノドの間(鼻咽腔)に腫れ物がある
幼児期には、咽頭扁桃という扁桃組織が鼻とのどの境目で大きくはれ、鼻詰まりにつながることがあります。常に口を開けている、いびきが大きいなどで、気が付くことが多いです。咽頭扁桃の腫大をアデノイドといいます。幼児期の頑固な鼻詰まりは鼻の炎症や難聴の原因にもなりますので、手術になることもあります。
鼻づまりの症状が表れる病気
鼻づまりの症状が表れる病気には一般的にいくつかの病名が考えられます。これらは互いの原因となることがあり、複数の病気を併発している可能性があります。
副鼻腔炎(蓄膿症)
副鼻腔炎(蓄膿症)は、顔や頭の骨の中の「副鼻腔」と呼ばれる空洞に生じる炎症です。細菌やその毒素、アレルギー性鼻炎などが原因となって副鼻腔の換気と排泄の機能に障害が起こることが主な原因です。また、鼻茸の原因ともなります。
鼻茸
上顎洞や篩骨洞の粘膜が炎症を起こし、白くふくらんでキノコのようになるのでこの名前がついており、鼻ポリープとも呼ばれます。鼻呼吸しにくく、口呼吸になりがちです。
鼻中隔湾曲症
鼻の左右の穴の間の壁(鼻中隔)が曲がっていて、鼻づまりや嗅覚障害などの症状が表れている状態を「鼻中隔湾曲症」と呼びます。鼻を形成する3つの骨の成長速度の違いから発症し、お子様に認められることはほぼなく、成人後に気づくことが多いです。根本的な治療のためには手術が必要です。
花粉症(アレルギー性鼻炎)
スギなどの花粉(抗原)が原因となって起こるアレルギー疾患の一つで、鼻づまり、くしゃみ、水っぽい鼻水、目や喉の痒み、流涙などの様々な症状の原因となります。
自宅でできる鼻づまり解消法
ご自宅である程度セルフケアできる、鼻づまり解消法をご紹介いたします。
鼻を温める
電子レンジなどで温めた蒸しタオルを鼻の付け根にあてると鼻の血行改善と蒸気により鼻づまり改善の効果が期待できます。
また、やかんや鍋の水を煮立て、やけどしない距離を保って、鼻と口(口は開けたままで)を蒸気に当てます。1,2分前後で鼻の粘膜が温まり、効果が出ます。
体を温める
部屋を暖かくしたり、レッグウォーマーやネックウォーマーで太い血管が通る部位を温めたりすることで血行が良くなり鼻の通りが良くなります。また、お風呂に入るなどして体を温めることも血行が良くなるため効果的です。
部屋を加湿する
乾燥は鼻づまりをはじめ鼻の症状の原因となります。部屋の湿度を50%~60%になるように加湿しましょう。
鼻水を吸い取る
市販の鼻吸い器を使って鼻水を吸い取ります。
わきの下を刺激する
わきの下にボールなどをはさむなどしてわきを圧迫すると、体の反対側の交感神経が刺激され、鼻の通りが良くなるといわれています。左の鼻なら右わきを、右の鼻なら左わきを圧迫します。
寝る姿勢を変える
仰向けの姿勢は鼻づまりになりやすくなります。クッションを使って少し体勢を起こすような姿勢にすることで鼻水が出やすくなり、鼻づまりを軽くすることができます。
鼻づまりの場合の診断と検査
長期にわたり続く鼻づまりや、症状が重い場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
鼻づまりの原因診断は、診察や検査が必要になります。一応、目安となる特徴的な症状を挙げてみますが、あくまでも参考程度と考えてください。
症状からの目安
青ばな、鼻汁がのどにまわる⇒副鼻腔炎の可能性
左右、交互のつまる⇒鼻中隔弯曲症鼻血を伴う⇒鼻内腫瘍、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎
診察
鼻粘膜の腫れ具合や鼻汁の量、鼻中隔弯曲、鼻茸の有無などがわかります。
単純レントゲン撮影
副鼻腔炎の診断がつきます。
CT検査
副鼻腔炎の部位や程度、鼻中隔弯曲など、鼻の中の詳細がわかります。
血液検査
アレルギーの診断とその原因(ダニとかスギ花粉など)を調べます。
鼻咽腔スコープ検査検査
ファイバースコープや電子スコープで鼻の奥や鼻咽腔の状態が確認できます。
鼻づまりの治療法は?
治療
処置・ネブライザー
鼻汁を吸引して、鼻内を清掃してからネブライザーで鼻内にステロイドや抗ヒスタミン剤を行き渡らせる治療法です。
内服薬
アレルギーの治療薬で、鼻づまりに効果の高い薬が開発されています。抗ロイコトリエン薬、抗トロンボキサンA2薬といわれるものです。それらの薬を数週間以上、きっちりと飲めば、鼻づまりがかなり良くなることがあります。
点鼻薬
一般的にはステロイドの点鼻液を使用します。ステロイドというと、抵抗を感じる方がおられますが、ステロイド点鼻液はほとんど副作用の心配がないといわれています。
※点鼻液の使いすぎには注意が必要です。
血管収縮剤の成分が入った点鼻液は速効性があるので鼻閉のある方にはすぐに楽になるので良いのですが、常用すると、鼻粘膜が肥厚し、頑固な鼻づまりを起こします。治療の第1歩は、点鼻液を使わないことです。しかし、鼻粘膜の肥厚が高度な場合には、肥厚性鼻炎として手術が必要です。
舌下免疫療法
アレルギーの原因となる「アレルゲン」を含んだ治療薬を口に含み体質を改善し免疫を作ることで、アレルギー症状を治したり症状を抑えたりする効果が期待できる治療方法です。
詳しくは下のページにて解説しております。
鼻づまりの手術概要
通院治療を3ヶ月継続しても効果が実感できない場合には、手術を考えるほうが治療の早道です。
また、アレルギー性鼻炎や高度な慢性副鼻腔炎がベースにあると、薬でいったんは症状が軽くなっても、通院や薬をやめるとまた症状を繰り返すということがおこりがちです。そのような場合、手術を考える必要が出てきます。
また、前述のとおり鼻づまりには複数の病気が関係している可能性が考えられます。大阪府和泉市の老木医院では、何項目かの原因が重なっている場合でも短期滞在の手術により、一度の手術で効率よく鼻づまりの治療を行うことができます。
手術をご検討中の方
手術する病院・クリニックをお悩みの方は
以下のページにて手術する病院・クリニックを選ぶ際のポイントを解説しております。よろしければご一読ください。
その他の鼻に関する症状は以下のページにて解説しております。