耳から出血する原因と治療法

耳から出血する原因と治療法

耳から血が出た際の原因・治療などについて解説いたします。

耳からの出血は何が原因?

耳から出血するのは何が原因?

耳介からの出血

耳の皮膚は薄く、また耳介には後耳介動脈や浅側頭動脈がありますので、小さな傷から大量の血が出ることがあります。感染によって耳介軟骨膜炎になると、耳介自体が変形することもあります。

外耳道からの出血

耳かきによる出血が多い場所です。耳かきを原因とする場合には、出血は自然に止まります。外耳道炎による出血は鮮やかな赤い血が特徴です。また、平手打ちやボールの衝突などが原因となることもあります。

鼓膜からの出血

こちらも大半は耳かきが原因です。激しい痛みがある一方、出血量は多くありません。

中耳からの出血

大半は中耳炎を原因とします。出血は比較的少量です。真珠腫性中耳炎を原因とする場合には、血液と耳だれが混ざったものが見られ、強い悪臭を放ちます。

内耳からの出血

側頭骨の骨折など、重度の損傷に遭わない限り、ほとんど出血はありません。

耳の皮膚がんによる出血

稀ではありますが、皮膚がんが耳にできると痛みや出血を伴います。中耳、耳介にできるケースが多く見られます。

どこから血が出ているのかをまず確認

耳介や鼓膜までの外耳、その内側の中耳と内耳、どこからの出血なのかをいち早く確認することが重要になります。応急処置、問診を行った上で、必要な検査を受けていただきます。

主な検査

聴力検査、血液検査、内視鏡検査、顕微鏡検査、CT検査、レントゲン検査、ティンパノメトリー検査、眼振検査など。

耳から出血する場合の治療法

耳から出血する場合の治療法01

耳介の外傷

小さな傷からでも、大量の出血が起こりやすい箇所です。清潔なガーゼなどで出血箇所を抑え、すみやかに耳鼻咽喉科を受診してください。

耳介軟骨膜炎

3分の1が軟骨に占められる耳介は、骨膜に炎症が広がりやすい箇所です。腫れている場合は患部を冷やし、耳鼻咽喉科を受診してください。抗生剤や消炎鎮痛剤で炎症を抑え、ステロイドの塗布・注射を行うこともあります。

耳介血腫

血腫から内容物を吸引・除去したのち、短期間内での再発防止ために耳介両側にガーゼタンポンを固定します。ドレーン(誘導管)を使って滲出液の排出を促す方法もあり、こちらも圧迫した上での固定が必要となります。また、変形してしまっている場合には、形成手術が必要になることがあります。

外耳道

耳かきなどによる外傷

外耳道の耳かきなどによる外傷の場合、出血は早期に治まりますが、感染のリスクがありますので必ず耳鼻咽喉科を受診してください。注意が必要なのは、かさぶたが痒くて強く掻いてしまうと、再出血を招く点です。

外耳道炎

耳かきなどの外傷によって起こる外耳道炎の多くは、比較的短期間で自然に治ります。ただし、糖尿病や免疫疾患などにより免疫力が低下している方、また体調不良で一時的に低下している方は、外耳道炎を繰り返す傾向があります。治療においては、消毒した上で抗生剤・副腎皮質ステロイド薬含有の軟膏を塗布します。

外耳道湿疹

外耳道炎から外耳道湿疹を併発すると、強い痒みを感じます。手で触ると悪化しますので、耳鼻咽喉科での治療が必要です。原因となる化学物質を含むシャンプーや化粧品の使用を中止し、ステロイド軟膏、抗アレルギー薬、抗ヒスタミン薬などで治療を行います。

真菌感染

真菌はカビの一種です。感染すると、強い痒みを感じます。外耳道炎から真菌感染が起きている場合には、抗生剤や副腎皮質ステロイド薬が逆効果となる可能性があります。抗真菌薬の塗布、内服により治療を行います。

鼓膜

耳から出血する場合の治療法03

外傷性の鼓膜穿孔

鼓膜からの出血は少量であり、また自然に止まります。一時的にきこえにくく感じることがありますが、鼓膜の自然修復により改善されます。ただし、鼓膜の穴は本来無菌空間である中耳への細菌の侵入を許してしまうので、中耳炎のリスクが上昇します。穴が閉じなければ鼓膜形成術などの手術を行います。

水疱性鼓膜炎

強い痛みやきこえづらさがある水疱性鼓膜炎は、ときに出血を伴います。インフルエンザ等のウイルス感染が原因と言われています。出血は少量で止血処置が必要ないことがほとんどですが、炎症を抑え、感染を予防する治療を行います。

中耳

中耳が原因の出血

中耳炎

耳だれを伴うことが多い中耳炎は、膿や滲出液に血が混じっていることがあります。耳鼻咽喉科で出血箇所をきれいにした上で止血を行います。再発を防止するためには、一度、きちんと完治させることが重要です。治ったと思い込まず、医師が指示した期間の通院と薬の使用を継続してください

繰り返し中耳炎になると、真珠腫性中耳炎癒着性中耳炎に移行することがあり、こうなると鼓室の再建のための手術が必要になります。

内耳

内耳から出血している場合は、頭部への衝撃による側頭骨骨折などが原因ですので、一刻も早く救急外来を受診してください。

耳に関するその他の症状

大阪で耳鼻喉の手術なら老木医院

監修医師

  • 老木 浩之
  • ・耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院 理事長
  • ・日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
  • ・厚生労働省 補聴器適合判定医師
  • ・医学博士

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