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2019.09.19

やっぱり気になる手術の危険性と合併症。執刀医が患者さんから質問の多い2点ついて、正直な実情をお話しします。

こんにちは、医師の竹田将一郎です。
老木医院は耳鼻咽喉科短期滞在手術の専門施設です。
昨年は449例の手術を行いました。
そのうち鼻の手術(鼻内内視鏡手術)は250例であり、最も大きな割合を占めています。
(手術実績はこちらから)

いかに苦痛が少なく、生活に及ぼす影響を最小限にしながら、手術の目的を達成するかが当院に求められている命題の一つです。
その際に、きちんと向き合い、対策を立てなければならないのが“手術の危険性と合併症”です。
患者様が手術をする際に一番気がかりなのも、その点だと思います。

今回は鼻の手術の危険性や合併症について、特に手術前に患者さんからの心配・質問の多い2点ついて、正直な実情をお話ししたいと思います。
手術で質問が多い項目に執刀医がお答えします

1.重篤な手術合併症
鼻内内視鏡手術は、鼻の穴から内視鏡をいれて顔の内側から手術を行います。外から見える部分に傷ができないメリットがあります。
その反面、顔面の内側の骨は、薄くもろい部分が多く(本当に薄いので“紙のように薄い骨”という意味で紙様板と呼ばれる部位もあるほどです)、隣接する脳や眼球、神経、大きな血管、鼻涙管などの大切な構造を傷つけてしまう危険性があります。古傷や病変自体の影響でリスクの高い方もいます。

手術を行う医師の経験・力量・慎重さが危険回避のために最も重要なのはもちろんですが、当院ではCT画像の3次元情報をもとに手術操作部位をリアルタイムに把握できるナビゲーションシステムも活用して、重要な器官の損傷防止に取り組んでいます。
幸い私は上記による後遺症を経験することなく、現在まで経験を積むことができています。

この種の重篤な手術合併症の頻度は1000件に数件といわれていますので、多くの実績がないと質の証明にはなりません。
私個人の数百件の経験で“絶対”を語ることはできませんが、当院の開院からの手術件数は昨年5000件を超えました。今後も安全な手術を心掛けていきたいと思います。

2.出血
鼻内内視鏡手術の術中の出血量は50cc前後です。病態や体質によって出血が多くなることもありますが、150ccを超える出血は問題視するべきと考えています(ちなみに献血で体から抜き取る血液の量は400cc程です)。
血のにじみもありますので手術後はしばらく鼻の中にガーゼなどの詰め物をして過ごしていただきます。
手術による出血が体全体の体調に与える影響は少ないのですが、50ccでも鼻に詰めたガーゼを何枚も真っ赤にするには十分な量です。
ガーゼによる鼻閉(鼻が詰まる状態)を含め、患者様に術後に少なからず不快な時間を過ごしていただかなければならないのが実情です。

一方で、術後の血のにじみや不快感をいかに少なくするかが、術者の腕の見せ所でもあると私は考えています。
鼻につめる素材や手術中のオペレーションについても、工夫を常に行っています(先日も老木浩之院長の理解を得て、新しい素材を導入しました)。
多くの症例では、術後数日から遅くても2週間くらいには出血がなくなり、鼻の不快感も低下してきます。自覚的に日常生活に支障のない状態になります。
施設によっては術後1-2週間で制限を解除しているところもあります。

ただし、ごくまれに(1000件に数件程の印象)、術後半月~2か月ほど経ったころで鼻出血が起こることがあります。
はっきりした病態の報告はありませんが数百件・数千件症例を重ねると経験します。
手術で一度取り除いた粘膜や血管が再生する過程で、複数の要因が重なって起こるものと推測しています。
鼻出血は部位によっては耳鼻咽喉科の専門医でないと止血できない場合があります。
このような出血はごくまれなことではありますが(当院で年間に0~数件程度)、この点を踏まえて当院では術後1ヶ月までは注意を促し、出血時には医師が対応できるような体制を整えています。

ほとんどの患者様には起こらない、稀で重篤な合併症についてアナウンスすることは、せっかく前向きに考えている治療を躊躇させてしまうこともあるかもしれません。
しかし、包み隠さず実情をお話しして、全力でそれらへの予防・対策に取り組むことが、耳鼻咽喉科の手術専門施設の医師の使命だと思っています。

当院の鼻の手術について、詳しくはこちらから
当院の特徴や手術の意義、危険性や費用なども掲載しておりますので、ぜひご覧ください。